パタゴニア、5年無期転換逃れを撤回せず

札幌地域労組パタゴニアユニオンは、パタゴニア社に対して、これまで2年以上にわたって、非正規パートタイムスタッフに対する雇用契約の5年上限条項=無期転換逃れの撤回を求めていました。

無期転換逃れ問題とは

非正規労働者の雇用の安定を図るために、2013年から、労働契約法18条により、非正規雇用者でも5年働けば無期転換権が得られるようになった。
しかし、労働者が無期雇用になり雇用責任を負うことを避けるために、雇用期間が5年を超える前に雇い止めにする企業が増えている。このことは「無期転換逃れ」と呼ばれ、社会問題となっている。

度重なる団体交渉で5年上限条項の不当性を訴えるだけでなく、チェンジオルグで3万筆以上の署名を集め、年末にはユニオン代表の指名ストライキも実施しましたが、パタゴニア社の姿勢は変わらず、2023年末には、ユニオン代表(当時)の藤川さんが、雇用期間4年9カ月で雇い止めをされてしまいました。

これまでの闘いについては過去記事(1)(2)を参照ください。

無期転換逃れの撤回を求めて裁判を開始

2024年12月22日ストライキの様子。吉岡駿介さん撮影。

5年無期転換ルールは、それまで些細な理由でクビを切られていたorクビに怯えなければならなかった労働者を保護するために作られた法律ですが、この法律の”潜脱”が行われるリスクは、立法過程から指摘されていました。
政府すら「無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的を持って雇い止めを行うことは望ましくない」と言っているにも関わらず、雇用契約に5年上限を設ける企業は後を絶ちません。

気候正義を訴え、革新的な企業として有名なパタゴニア社すら無期転換逃れを行っているとすれば、非正規雇用労働者を巡る状況が良くなる見込みはありません。
非正規労働者の雇用の安定を守るために、今回の雇い止めを違法として、裁判を行うことにしました。

2月14日に札幌地裁へ提訴。各社で報道されました。
「無期雇用転換前に雇い止め」 パタゴニア元パート、撤回求め提訴【朝日新聞】
「雇い止めは不当」 元パート従業員がパタゴニアを提訴 札幌地裁 【毎日新聞】
雇い止め「パタゴニア」でスト 「権利ないがしろ」 元パート、無期転換求め 【毎日新聞】

6月3日に1回目裁判期日

2023年7月6日 パタゴニア社に3万人のweb署名を提出した際の記者会見(厚生労働省記者クラブ)。右が原告の藤川さん。

提訴後はじめての裁判期日が決まりました。
1回目の裁判期日ということもあり、多くの注目を集めています。

原告の藤川瑞穂さん(パタゴニアユニオン前代表)の意見陳述も予定しております。奮って傍聴支援にご参加ください。

2024年6月3日(月)13時30分
札幌地方裁判所 805法廷
 ※札幌市中央区大通西11丁目(地下鉄東西線「西11丁目」駅1番出口より徒歩2分)

裁判期日後、高教組センター(大通西12丁目)4階で、報告集会を予定しています!

2月提訴時の報道(一部)

「無期雇用転換前に雇い止め」 パタゴニア元パート、撤回求め提訴 朝日新聞 2024年2月14日

勤続1年で無期転換認める職場も 安心して長く働くためには 朝日新聞 2024年2月14日

「パタゴニア」元パート従業員 “5年ルール”無期雇用転換直前の雇止めを不服として復職求める 札幌地裁 HTB北海道ニュース 2024年2月14日

「無期雇用への転換逃れ」パタゴニア元パート従業員の女性が“不当な雇い止め”主張し提訴 4年9か月で契約打ち切られるHBCニュース 北海道放送 2024年2月14日

「雇い止めは不当」 元パート従業員がパタゴニアを提訴 札幌地裁 毎日新聞 2024年2月14日

雇い止め「パタゴニア」でスト 「権利ないがしろ」 元パート、無期転換求め 毎日新聞 2024年2月14日

多くのご支援をお願いします

パタゴニアという大企業相手に裁判で闘うためには、多くの方の支援が必要です。
非正規差別と闘う運動は、多くの手間とお金がかかりますが、闘う我々としても大変心強いです。

支援には、色々な方法があります。みなさんの事情に合った方法でご支援のほどよろしくお願いいたします。

① 裁判に傍聴支援

裁判傍聴に多くの方が来れば、この裁判に多くの人が関心を寄せているよ、ということを会社と裁判所へ直接的に伝えられます。
闘っている原告にとっても、傍聴席にたくさんの人が座っていると、「一人じゃない」ことが分かり、大変心強いです。
平日の昼間で、参加が難しい方も多いと思うのですが、お時間が合えばぜひお越しください。
裁判期日後には、近くの会議室で報告集会を行い、原告や弁護士が裁判の現状や労使の主張について解説しています。

② パタゴニア本社に、無期転換逃れをやめるように伝える

パタゴニアユニオンは、パタゴニア製品の価値やパタゴニアがこれまで行ってきたアクティビズムには賛同しています。
決してパタゴニア製品の不買を訴えたい訳ではありません。
しかし、気候正義やフェアトレード等について発信してきたパタゴニアが無期転換逃れをし、非正規労働者を不安定な立場に追いやっている現状はなんとか変えて欲しいと思っています。
パタゴニアで買い物をする機会があれば、ぜひ、管理者へ無期転換逃れの雇い止めをやめるよう伝えてください。
(ただし、現場のスタッフを責めるようなことはしないでください。運用を決めているのは、会社の人事部・上層部です)

③ パタゴニア無期転換逃れ事件について、周りの人に伝える

札幌で、パタゴニアの非正規パートが無期転換逃れの雇い止めの撤回を求めて裁判をやっていることを、ぜひ周りの人にすすめてください。
その際は、当記事か、新聞記事、SNSなどもフォロー・拡散してご活用ください。

SNS
インスタ @patagoniajpunion
Twitter(現X) @patagonia_union


④ 支援カンパをする

裁判には、多くのお金がかかります。
社会的な意義のある裁判を担当している弁護士さんに正当な報酬を払うためにも、ぜひともカンパをお願いします。
カンパは、弁護士費用、裁判所手数料、印刷費、原告の交通費等に使われます。

口座振り込み

北海道労働金庫 本店(普通預金)
口座番号 3666086
札幌地域労働組合(サッポロチイキロウドウクミアイ)

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