6月に結成された、札幌地域労組・恵佑会ユニオン。

団体交渉を重ね、新人事制度の白紙撤回を成功させました!

記念として、恵佑会ユニオン支部長の大嶋さんにインタビューを行いました。

 

恵佑会病院でのお仕事は何ですか?

 

 

大嶋さん、今回はよろしくお願いします!


はじめに、大嶋さんが恵佑会病院でどのような仕事をしているか、教えてください!

 

 

 

 

職業は『診療放射線技師』です。レントゲンやCT、MRIなど『画像診断』に関わる仕事をしています。

 
 

放射線技師、画像診断…というと機械屋のイメージが強いと思いますが、与えられた条件のなかで、どうすればより診断に有用な画像を得ることができるのか、検査にネガティブなイメージや不安を持っている患者さんにどのように接すればいいのか…などを考えて対応しなくてはならず、臨機応変さやコミュニケーション能力が試される仕事だと思います。

 

 

 

 

放射線技師と聞くと、技術職というイメージが強いですが、加えて、患者さんとのコミュニケーションも上手に取る必要があるんですね。

 

 

 

 

他人の命に関わりをもつことは体力も使いますし、精神的負担も大きいです。

でも、患者さんや医師から労いの言葉をいただいたり、狙い通りの写真が撮れたときにとてもやりがいを感じます!

検査の前後に患者さんとちょこちょこ世間話をするのも楽しい時間です。

 

 

 

 

放射線検査って緊張するので、放射線技師の方が気さくな方だと安心します!

 

 

 

 

恵佑会にはもう一つ『放射線治療』の部門があります。

自分は携わっていませんが、放射線治療は文字通り、『癌を治療する』仕事なので、そちらもとてもやりがいのある仕事だと思います。

 

 

 

組合を作ろうと思ったきっかけは?

 

 

労働組合になじみが薄い人も多いと思います。
どのように労働組合を知り、組合を作ろうと思いましたか?

 

 

 

 

6月の中ごろに突然法人から、『来月(7月1日)から、新しい人事制度を導入します』と言われ、資料が配布されました。

その資料が大変わかりにくく、渡された当初はとても困惑しました(後で知りましたが、プロの経営コンサルタントが作ったものだったようです…わざとかと思うくらいわかりにくかった!)。

しかし、よくよく読んでみると『どうも従業員に不利な条件みたいだぞ、殆どの従業員は減俸するじゃないか』ということがうっすらわかりました。

 

 

 

 

短いスケジュールで、分かりにくい資料を出して、労働者が混乱してるうちに就業規則を変えようという作戦だったのでしょうか

 

 

 

 

考えれば考えるほど、法人に対する不信感や将来への不安がつのるばかりでしたので、ここはプロに相談しよう!と思い、労働基準監督署を訪れました。

労働基準監督署では、一通り話を聞いてもらえましたが、法人が然るべき手続きを終了すると新しい人事制度が導入されてしまうということでした。

労働基準監督署は、法人の提出した書類に不備がないかなどは確認しますが、従業員が反対しているかどうかは実際のところ関係ないのだそうです。

 

 

 

 

職場の労働者代表が、就業規則の不利益変更に反対する「意見書」を提出していても、手続き的には就業規則が変更されてしまうんですよね

 

 

 

 

最終的な労働基準監督署の方のアドバイスは『労働組合が反対すれば止められるのですが、あいにく恵佑会さんには組合が存在しないようなので…1人から入れる組合もあるので探してみては』というものでした。

そこでネット検索をして辿り着いたのが『札幌地域労組』でした。

 

 

 

 

なんと的確なアドバイス!

 

 

 

 

LINEの相談窓口から連絡すると『それは大変!すぐ来てください!』とのことで、その日のうちに相談に乗っていただき、労働組合の結成には急を要すると言われました。

昔から、自分がリーダーになって何かをするようなタイプではなく、組合の結成にはかなり迷いや不安がありました。

 
 

しかし、自分と同じように新人事制度の導入に不満を持つ職員が集まってくれたので、なんとか組合を結成する気持ちを固め、6月29日、本当にギリギリのタイミングで(なんせ、新人事制度の導入は7月1日です!)組合結成の通知と、新人事制度導入に反対する申し入れを行うこととなりました。

 

 

 

 

職場の同僚と一緒に闘えるのは本当に心強いですね!


こちらも、ギリギリのタイミングで申し入れが間に合って安心しました。

 

 

 

 

新人事制度(就業規則の不利益変更)が撤回になりました!

 

 

最初は強硬な態度をとっていた法人が、組合の粘り強い交渉の結果、当初の予想よりも早い、わずか4カ月で新人事制度の白紙撤回を決めました。

 

 

 

 

率直に、ホッとしています。
これまでの安定した環境で仕事を続けられる、という安堵に尽きます。

 
 

協力してくださった組合員の皆さんや応援してくださった職員の方、組合の主張をに耳を傾けてくださった法人の方に感謝したいです。

 

 

 

 

新人事制度の肝である人事評価制度の導入は、全国の企業で急速に広がっているようですが、上司の評価によってで基本給の増減までまで決められてしまうという恐ろしい制度です。


営業など目に見えた数字が出る職種ならまだしも、医療の技術職で客観的な評価は難しく、法人が賃金を下げるために都合よく使う可能性があります。

 
 

手当の大幅カットも、食い止められて本当に良かったです!

恵佑会病院のような大きな職場の待遇は、地域の他の職場にも影響するので、今回、就業規則の不利益変更を阻止できたことは、地域全体の職場の労働環境も守ることにも繋がったと思います!

 

 

 

組合を作って4カ月以上経ちました。なにか変わったことはありますか?

 

 

最近になってやっと法人からの理解を得られつつあるような気がします。

労働法や労使関係についての意識も徐々に変わってきていると思います。

 
 

自分の気持ちの部分では廊下を歩いているときなどにたまに、『応援してます』と声をかけてもらえることがあり、とても励みになっています。

 

 

 

 

応援してくれる人がいるのはとっても心強いですね!

 

 

 

組合として今後改善したいことはありますか?

 

 

時間外労働の管理や有給取得についてですね。

制度は整えられてきているのですが、部署によっては手当や有給を申請しづらい雰囲気があるようなので、職場全体の意識改革の必要性を感じています。

 
 

今後は法人とも協力して、働きやすい職場環境を整えていけたらと思います。

 

 

 

 

札幌地域労組も、恵佑会ユニオンを全力で支えていきます!

 

 

 

休日はどのように過ごしていますか?

 

 

 

休みの日はほとんど家で過ごします…。

といっても、ゲーム、読書、編み物、ピアノ(10年も習っていたのにかなり下手!)など、家の中でできる趣味をたくさん持っているので時間がいくらあっても足りないです!

 

 

 

 

多趣味ですね!

 

 

 

 

特に冬はもっぱら編み物をしています。

テレビを見ながらひたすら編んで、気づいたらセーターができてた!って感じですね。

1シーズンに3着くらいは編みます。

日本よりも欧米の方が編み物が盛んなので、海外から編み物の本や毛糸を取り寄せるのもたのしいです。

 

 

 

労働組合の結成について迷っている人へ

 

 

 

労働組合の結成を迷っている人に、一言お願いします!

 

 

 

 

労働組合の結成、不安ですよね。

組合員は集まるだろうか…とか、結成したはいいけどちゃんと目的は果たせるのか…とか、上司に目をつけられないか…とか。

いっそのこと、転職した方がいいかもしれない、と考える方もいると思います。

 
 

でも、今の仕事を辞めようかと悩んでいるならなおさら、その前に『ちょっと』労働組合を結成してみてください(かく言う自分も、札幌地域労組さんに相談するのと同時にハローワークで次の仕事を探すなどしていました)。

選択肢は多いに越したことはないです。

 

 

 

 

今の職場で組合の要求が通ればそれに越したことはありませんが、最悪の場合を想定することは大事ですね。

 

 

 

 

労働組合を結成してみてうまくいかなかったら、それはその時考えても遅くはありません。

そして、おそらく、労働組合を結成して、うまくいかないということはないと思います。

 
 

自分が労働組合を結成したときにも小さな障害はいくつかありました(例えば、ビラ配りに対する妨害など…)。

でも、ほとんどのことは一定の解決をみています。

そして、最大の目的であった就業規則の不利益変更を撤回させることもできました。

 

 

 

 

無事、白紙撤回に成功して本当に良かったです!

 

 

 

 

職場での問題には、労働組合でなければ解決できないこと、言い換えれば、労働組合であれば解決できることがたくさんあります。

今の職場を大切に思っているのなら、労働組合を結成して損はないですよ!

きっと解決できると思います。

 

 

 

 

労働組合は、法律を越えて、会社と交渉できます!

 

 

 

 

新しいことを始めるときには、常に不安がつきまといますが、それはただの『本能』で当たり前のことなんだそうです。

例えば、初めて見る食べ物を口にするときや、髪型を変えるとき。

労働組合の結成に対する不安は、それらと同じ類のものだと思ったら少しは気が楽になりませんか?

 
 

健闘を祈ります

 

 

 

 

力強いお話ありがとうございました!!!

会社が賃金を下げると言ってきたとき、なにか理不尽なことを言われたとき、労働者がひとりの力で立ち向かうのは難しいですよね。
しかし、労働組合を結成すれば、できることはたくさんあります!

大嶋さんの言うとおり、はじめは不安だと思いますが、そんなときもぜひ、札幌地域労組に気軽に相談してください。

大嶋さん、これからもよろしくお願いします!