【闇深】まるで亡霊あつかい…「NON-JET ALTの悲痛な叫び」そしてユニオン結成へ

【闇深】まるで亡霊あつかい…「NON-JET ALTの悲痛な叫び」そしてユニオン結成へ

はじめに

小・中・高校に子どもはいますか?
 
もしそうなら、あなたは以前に「ALT」という用語を聞いたことがあるかもしれません。
 
あなたはALTについて、どのくらい知っていますか? 私たちは札幌で働くALT(アシスタント・ランゲージ・ティーチャー)であり、あなたの助けが必要です。
 

ALTとは

ALTは、公立の小学校、中学校、高校で働いている外国人労働者です。

我々の役割は、日本人英語教師(JTE)を支援し、英語の授業中にネイティブアクセントを教えることです。最初のALTは、日本政府(文部科学省)がJETプログラムを導入した1987年に登場しました。

ALTは文部科学省が管轄する「JET ALT」と教育委員会(あるいは委託を受けた民間会社)が管轄する「NON-JET ALT」の2種類が存在します(詳しくは後述します)。

文部科学省が管轄する「JET ALT」は、政府によって手厚い生活の保障がされています。

しかし、教育委員会が管轄する、我々「NON-JET ALT」は生活の保障はなく、まともに生活が出来ない賃金で働いています。

尚且つ、各地方自治体の教育委員会は、そのことに無関心です。NON-JET ALTが生活が出来ようが出来まいが全く気にしていません。

札幌市議会においても、この事は度々取り上げられていますが、今のところ改善する様子はありません。

また、文部科学省もNON-JET ALTが、どのような存在かを明確にすることを拒否しています。

 

 

JET ALTとNON-JET ALTの違い

 
仕事の内容に関しては、2つのタイプのALTに違いはありません。しかし、労働条件に関しては、天と地ほどの差があります。
 
JET ALTは、一般的にはフルタイムで働いています。社会保険にも加入していて、賃金も高いです。
 
それに比べ、ほとんどのNON-JET ALTは、パートタイムで働いており、週の労働時間が29.5時間に制限されています。
 
これにより、我々NON-JET ALTの賃金は極めて低く、社会保険にも加入させてもらえません。
 
JET ALTは文部科学省によって、生活や労働条件保障のルールがしっかりと規定されていますが、NON-JET ALTの生活および労働条件保障は、一切規定されていません。
 
NON-JET ALTは、他の先生同様に学校で授業を行っているにも関わらず、文部科学省にも存在を認められず、教育委員会にも関心を寄せられることなく、規制する法律も存在しません。
 
まるで亡霊のような扱いを受け続けています。
 
 
JET ALT NON-JET ALT

契約年数の上限は5年間

年収は336万円からで毎年昇給します

教員資格は必要なし

文部科学省による管理

様々な学校に配属される

社会保険加入

32名が札幌で働いています

契約年数に上限はありません*

年収は230万円前後で昇給はほぼありません**

教員資格は必要なし

民間企業による管理

小・中学校限定で配属される

ほとんどの人が社会保険に加入させてもらえない***

88名が札幌で働いています

   

*離職率が非常に高く、
ほとんどのNON-JET ALTが1〜2年で退職します。
**長期労働者から、入社してからほとんど給与が改善されていないとう報告があります。
***88名のNON-JET ALTの内、18名しか社会保険に加入していません。


2020年の札幌市のALT予算は5億2100万円です。予算は次のように分割されると推定されます。NON-JET ALTは、JET ALTの3倍の人数がいるのに予算の半分程度しか割り当てられていません。




 

何が問題なのか…?

 
 
先に述べたように、文部科学省はNON-JET ALTの生活や労働条件保障のルールを規定することを明確に拒否しています。
 
その上、NON-JET ALTは、教育委員会の管轄なので一切関知しないという姿勢を頑なに崩しません。
 
日本における英語教育を推進しているのは、文部科学省であるにも関わらずです。
 
さらに、NON-JET ALTを直接雇用するのではなく、民間企業に業務委託をすることが多い、各地方自治体の教育委員会にも重大な問題があります。
 
学校教育を民間企業に業務委託することで、以下の問題を引き起こします。

 

教育の質が下がる

 
第一に、NON-JET ALTの雇用に関する規定がないということは、提供する授業の品質管理がないということです。
 
毎年約8割のNON-JET ALTが入れ替わる事によって、各ALTの技術と経験は大きく異なり、授業に大きな差が生じます。
 
あなたの息子や娘が、10年の教育経験を持つベテランに教えられるかもしれませんし、初めて教室に足を踏み入れた人によって教えられるかもしれません。
 
学校はこのことを管理できず、生徒や日本人教師に多くの混乱を引き起こす可能性があります。

 

安定的な教育の提供ができない

 
第二の問題は、不安定性です。
 
2016年、札幌市から委託を受けたNOVAは、契約を履行するのに十分な外国人教師を雇うことができずに、新学期に授業を始めることが出来なかった事件がありました。
 
その後、札幌の学校にNON-JET ALTが派遣されない期間が、約3ヵ月続きました。その間、NOVAが雇ったNON-JET ALTは職を失い、当てにしていた賃金が支払われず生活に困窮しました。
 
この事件は、当時マスコミでも大々的に報道され、札幌市議会でも大きな議論を巻き起こしました。
 
それにも関わらず、現在、札幌市教育委員会から業務委託を受けた会社の「インタラック北日本」は、NON-JET ALTと1年間限定の労働契約しか結びません。
 
さらに、通年雇用をしていないのです。契約は4月後半に始まり、3月前半に終わります。
 
つまり、一年の間で、NON-JET ALTが無給になる期間(事実上の失業状態)が4週間から5週間あります。
 
雇用主であるインタラック北日本は、札幌市教育委員会が、このような契約を持ちかけていると主張しています。
 
NON-JET ALTは、この期間を生き残るために、年間を通じてお金を節約する必要があります。
 
このため、優秀な教師は他の仕事を見つけたり、生活ができないので、日本で働くことを諦めて、母国に帰ったりしています。NON-JETALTの離職率が非常に高い理由です。
 
質の高い授業を提供できる優秀なNON-JET ALTは、次々に学校を去っていきます。 このような状況が英語教育の質にどのように悪影響を与えるかは、誰でも簡単に想像できます。  
 
 

あなたの力が必要なんです!

 
ALTは、英語教育のかけがえのない部分であると私たちは信じています。
 
私たちは、あなたの子供たちに質の高い教育を提供したい。その見返りとして私たちが求めるのは、公正な労働条件だけです。
 
雇用主のインタラック北日本は、私たちとの交渉を拒否し、札幌市教育委員会は私たちに降りかかっている深刻な問題を見ようとしません。
 
皆様のご支援により、札幌のNON-JET ALTの生活を向上させることができれば幸いです。
 
 

補足説明

 
この記事は、札幌市で働くNON-JET ALTが書いたものを日本語に翻訳したものです。
 
彼は、日本の学校で教えることを目標に母国で勉強し、資格を取得して来日しました。しかし、彼を待ち受けていたのは、病院にも行けない、賃金が大幅に下がる3月・4月は、家賃も支払えないような低賃金労働でした。
 
小学校でも正式な教科として英語の授業が取り入れられ、本格的に英語教育の強化がなされようとしている時に、なぜこのような事が起こるのでしょうか。
 
 

NON-JET ALTは、非公式な制度

 
日本の公式な制度としてALTが認められているのは、文部科学省所管の「JETプログラム」により招致された「JET ALT」のみで、それ以外のNON-JET ALTは、公式な制度として認められていません。
 
文部科学省の見解は、各地方自治体(教育委員会)に英語教育の推進を強化するよう言っていますが、その方法は各地方自治体の教育委員会の責任をもって行うという状態にあります。
 
さらに、文部科学省は、英語の授業に必ずしもALTが必要ではないとも強調しています。
 
つまり、簡単に言うと、「英語の授業にNON-JET ALTはいてもいなくても構わない。それを決めるのは教育委員会だから、我々文部科学省は関知しない。」ということです。
 
 
事実、私は、労働組合の立場で文部科学省にNON-JET ALTについて、雇用のルールを明確に定めるように要請しました。しかしながら「NON-JET ALTは、法的根拠がないので、国として取り扱う事は出来ない」「 JET ALTについては、関われるがNON-JET ALTには文科省として関われない。権限も持っていない。」との回答でした。
 
各地方自治体の教育委員会は、文部科学省からの“曖昧な一任”のされかたで、NON-JET ALTの扱いをどのようにしたらよいか分からないのかもしれません。
 
また、法的に定義されていないNON-JET ALTには、国からの補助金も出ません。
 
この中途半端な亡霊のような存在として扱われることが原因で、NON-JET ALTの貧困問題は、全く改善の兆しが見えません。
 
NON-JET ALTを取り巻く状況は、財政難と中間マージンを搾取する民間会社。それに加え、雇用ルールが全くない無法地帯となっています。
 
教育の現場でこのような貧困問題はあってはいけません。一日も早く、民間委託をやめて、各地方自治体がNON-JET ALTを直接雇用し、労働条件を改善すべきと考えます。
 
 

北海道ALTユニオン結成

 
我々、札幌地域労組は北海道で働くNON-JET ALTを組織化し、北海道ALTユニオンを結成しました。
 
これまで、雇用主であるインタラック北日本と労働条件改善を求めて、2回の団体交渉を行いましたが、会社は「札幌市が予算をつけてくれなければ、労働条件の改善は不可能」と主張しています。
 
北海道ALTユニオンは、その主張を受け、会社の収支状況の説明を求めています。収支状況が明らかになった後、札幌市教育委員会に申入れを行う予定です。
 
引き続きご支援の程、宜しくお願い致します。
 
 
参考記事2019年12月2日北海道新聞朝刊掲載

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