労働者酷使に規制を(2013.6.18 朝日新聞より転載)

労働者酷使に規制を(2013.6.18 朝日新聞より転載)

札幌市東区の工業団地の一角。工場の塀に「団結」と染め抜かれた雨ざらしの赤い旗がかかっている。

消防自動車などを製造する田井自動車工業に労働組合ができたのは昨年5月。橋本良太さんは、札幌地域労組田井自動車支部の支部長を務める。

残業時間がゼロでも月200時間でも手当が変わらない「固定残業代」に持った。40人余りの社員のうち、20~30代を中心とする19人が組合員だ。

 

自分たちで動く

組合を作ってから政治への意識が「ものすごく変わった」という。

投票には必ず行ってたが、「よくわからないまま、みんながいれるような政党に入れていた」。だが今は、「最低賃金の廃止を口にするような政党は労働者にとってよくないと思うし、世の中を大きく動かすには、組合活動のように自分たちで地道に動いていかなければと思うようになりました」。

 

高校を出て入社したが、2004年に不満が重なり退社、2年後に戻った。

「結局はこの仕事が好きだから」。お客のようきゅうに合わせて様々な車を作るのが面白い。でも、「働いた分の対価がもらえないと、何のために仕事をしているのかわからなくなります」。

組合は昨年9月、丸1日のストライキをした。残業制度に関する団体交渉に会社が応じないためだ。今年4月に組合は春闘と期末手当の要求を出したが、その団交も開かれないため、組合員は今も仕事中に赤いはちまきと腕章をしている。

 

安倍政権が検討している雇用規制緩和については、「とんでもない話だと思う。何も言えない労働者の残業代をごまかす使用者を取り締まる法律を作った方が景気が良くなるんじゃないか」。

労働者を酷使する「ブラック企業」を取り締まれば、「安心して働けて賃金も上がり、頑張って働こうという若者も増えるのでは」と話す。

 

仕事の流れ改善

組合ができてもう一つ変わったのは、「職場の風通しが良くなったこと」だ。

以前は職場での議論がなく、仕事の仕方を見直すのは難しかったが、今は「みんなが思っていることがよくわかり、組合で仕事につながる話もするので流れが良くなった」という。

「一人ひとりが自立してものごとを考えないと、周囲に流されてしまう。消防車を作るのも、世の中のことを考えるのも、同じだという気がします」

(林美子)

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