昨年6月から団体交渉拒否が続いている美しが丘病院支部。着替えや前残業等の未払い賃金支払いを求めて札幌地裁に提訴したところ、支部長が報復的に解雇されました。弁護団は、支部長解雇の撤回を求めて即座に提訴しました。

着替え時間は残業時間

工場、レストラン、チェーンの小売店など、その仕事をするために、制服を着替えなければいけない職業は多くあります。最近でも、北欧家具のIKEAや、日本郵便などで着替え時間の労働時間性が問題になっています。
病院の場合、看護服のまま通勤をするのは不衛生ですし、看護服は病院で洗濯されるので職員は来てから着替えをするしかありません。
それにも関わらず、職員は就業時間より前に出勤して、着替えを終えることになっています。

前残業、夜勤手当の割増賃金の請求も

 未払い賃金は着替え時間の分だけではありません。
 多くの職員が、始業時刻より15~30分前に出勤して、情報収集、点滴の準備や患者のお茶のとろみづけなどの前残業を行っていますが、これらには賃金が支払われていません。
 また、夜勤手当の位置づけが不明瞭であるため、夜勤の際の割増賃金の請求もしています。
 すべて合わせて、原告16名で約4700万円を請求しています。

ストライキ後も団体交渉拒否が続く

2022年10月に結成した美しが丘病院支部。
親睦会の会計問題、36協定未締結の問題、休憩が十分に取れていない問題など、様々な問題について交渉を求めてきました。
しかし、法人は、昨年6月に開催された第三回団体交渉を僅か18分で一方的に退席したのを最後に、団体交渉拒否を続けています。
組合は未払い賃金問題について、再三にわたって申し入れを行い、時限ストライキも行いましたが、法人は団体交渉を拒否し続けました。
そのような中で、事態を少しでも動かすため、8月15日に裁判という手段に踏み切りました。

組合員狙い撃ちの懲戒処分が続く

 法人と対等に交渉をするという、労働組合の一番の権利が奪われている状況で、法人はさらに、次のように組合員を狙い撃ちにした懲戒処分(減給)を連発しています。
①シフトが4日しか重なっていないの新人職員への指導内容をパワハラと認定。
②支部長の小さなミスを執拗に責め、その結果支部長が上司に土下座をしたことをハラスメント認定。(上司に対して土下座をした側がハラスメント加害者であるという驚きの認定)
③残業代を支払うよう理事長に直談判(内部告発)をしたことを素行不良で病院内の秩序を乱したと認定

これらは、積極的に活動を行う組合を弱体化させる目的をもって行われたもので、組合はこれらについても再三にわたって団体交渉を申し入れていますが、それらもすべて無視されています。

わずか3日前通告で支部長(看護師長)を解雇

 支部長の佐々木晴見さんは、2階病棟師長として、60歳定年後は1年更新で働いていました。
このような中で、残業代の未払い賃金請求訴訟をした直後、佐々木さんを1年後、65歳で雇止めにする旨の通知がなされました。
病院には65歳を超えても働き続ける職員が複数いますし、雇止めの理由が不明であったため、組合は団体交渉を求めました。
その後、佐々木さんは、法人が提示した次の更新についての雇用契約書に署名・押印をしたにも関わらず、法人は、団体交渉を求めたことを理由に、わずか3日前に解雇を通告してきました。
 師長は、病棟全体のリーダーで、そのリーダーが十分な引継ぎもできないままに病院から追い出され、病棟は混乱が続いています。

組合の権利を守り、健全な地域医療の確保のために、傍聴支援を!

11月29日は、着替え時間等の残業代についての裁判と、佐々木さんの解雇についての裁判を同時に行います!
組合員は在職10年を超える人が半分以上おり、組合として求めているのは、あくまで、法人との対等な話し合いです。
それを拒否され続けたために、裁判という手段に訴えるしかなくなったのです。
地域の医療を支える病院職員が安心して尊厳をもって働くためには、労働組合が不可欠です。
医療法人北武会による組合嫌悪の横暴を許さず、病院で働いた分の正当な対価が支払われるように、多くの方に傍聴支援に来ていただきますようお願いします!

■美しが丘病院 残業代未払い&支部長解雇撤回裁判 傍聴支援■
11月29日(金)10時30分
札幌地方裁判所 805法廷(中央区大通西11丁目)
*終了後、11時頃から札幌弁護士会館にて報告集会を実施。昼頃に終了予定です。