法人側の説明に利用者家族がいっせいに反発

2004年9月28日、特養ルミエール側(社会福祉法人 公和会)は利用者家族を集め今回の虐待問題について説明会を行いました。

施設長らは何を勘違いしたのか、玄関正門にバスをバリケードがわりに横付けして「何かに」備えていました。

施設側は予想どうり「虐待はなかった」と説明しましたが、これには利用者家族がいっせいに反発。

では、うちの母のアザはなんだったんだ」などの反論の声が次々にあがったという。 家族は内部告発した多田さんの発言に、万来の拍手を送った。施設側の企みが粉砕された瞬間でした。

札幌市が調査結果を公表

札幌市は、10月1日開催された市議会厚生委員会で、 9月1日以降続けてきた特養ルミエールでの虐待問題に関する調査結果を公表しました。

それによると、 組合が指摘した5件の虐待以外にも、のべ50件の不適切な処遇事例の証言があり、施設内の日常の介護のうえで 虐待と取られかねない不適切な処遇が行なわれていたことが強く疑われる、と指摘しています。

なお、今後も道と札幌市による徹底的な調査が続きます。

各市議、経営者を厳しく批判

市議会厚生委員会では、「ルミエールの認可を取り消すことはできないのか」(自民・宮村素子氏)「札幌市として内部告発者を守るべきだ」(民主・林屋屯田兵氏) 「先日のルミエール側の家族への説明会は混乱の極みだ。派遣やパートの多用で労働条件を不安定にしていることも虐待の要因だ」 (共産党・小川勝美氏)など、ルミエールの経営陣を批判する意見が続出し、ルミエール側を擁護する意見は一件も出ませんでした。

ルミエール側、地域労組など6名を提訴

ルミエールの代理人・前田尚一弁護士は10月1日午後4時から記者会見を開き、地域労組や道新がルミエールの名誉を毀損したので慰謝料として1000万円を請求する裁判を提起したことを発表しました。

原告はルミエールを運営する社会福祉法人公和会・理事長の長沼政幸、被告は札幌地域労組、鈴木一書記長、 北海道新聞、H記者、それと内部告発の当事者の多田さん、坂本さん計6名です。

21頁からなる重厚な訴状の中身は説得力に欠けるばかりか、実はその8割が単なる道新記事の引用であり、 医者である依頼人(長沼理事長)に「こんなに一生懸命に訴状を作成した」とアピールすることが狙いではない かと疑いたくなる内容でした。

過去3回も訴えられている鈴木書記長や新聞社を訴えることはさておき、目の前のお年寄りへの虐待をなんとか止めさせたいと、 勇気をふりしぼって内部告発に立ち上がった多田さん、坂本さんの両名を脅かすような今回の提訴は事実上の内部告発に対する弾圧であり、 許すことはできません。

200名の熱き激励

10月1日18時30分から自治労会館で開催された「内部告発を支える会」の集会は、 福祉職場を中心に定員150名を大きく超える200名の仲間が駆けつけてくれました。

約10名のマスコミ関係者に加え、一般市民やルミエール利用者家族の姿もありました。参加者は内部告発の当事者、ルミエールユニオンの多田さん、 坂本さんの赤裸々な報告を固唾を呑んで聞き入りました。

そして、奇しくも丁度この日に合わせるように、札幌市の調査結果が公表され、 ルミエール長沼理事長による内部告発者らに対する提訴の一報が、集会を一層盛り上げることとなりました。

最後に「長沼一族が牛耳る施設を、市民の手に取り戻す」ことを宣言し、引き続く支援を訴え集会を終えました。