2004年8月に、札幌市白石区の特別養護老人ホーム・ルミエールで働く介護職員の内部告発で高齢者虐待が明らかになり、その後、札幌市が改善命令を出した問題で、札幌地域労組は本日、札幌市に対し、依然として虐待行為が続き、さらに市の改善指導にも従っていない事実を指摘し、早急な適正化を申し入れました。
内部告発した介護職員は地域労組加盟の組合員であり、ルミエールは現在、当組合と内部告発した職員を名誉棄損で訴えておりますが、 遅くとも年内に虐待の有無についての司法判断が下される予定です。
1、申し入れのポイント
(1)内部告発後も虐待行為が散発
明らかに露骨な虐待と言うべき行為が、内部告発後に1件、改善命令後に4件発生しているが、施設はこれを真剣に調査しようとしない。
ルミエール責任者の虐待に対する問題意識が希薄 なのは、札幌市から行政処分(改善命令)を受ける前となんら変わらない。
(2)行政の命令を真面目に履行せず
札幌市はルミエールで虐待が疑われるとして、「虐待問題への調査・再発防止等の徹底、 経験豊富な指導者の育成、職員の定着率の向上、外部研修の実施」などの改善を命じた。
しかし ルミエールは、改善命令後も虐待問題に極めて甘い姿勢を取り続け、虐待常習が疑われる者を介 護現場のリーダーに昇格させたり、介護職員の8割以上をパートや派遣労働者に置き換えたり、 介護職員への外部研修を殆ど実施しないなど、市の改善命令をことごとく軽視・無視する態度を取り続けている。
(3)「いちわ」認可取消しと、ルミエール改善命令の対比
本年3月末に行政処分を受けた手稲区のグループホーム「いちわ」も、特養ルミエールも、施設管理者が頑強に虐待を否定している点は同じだが、「いちわ」のケースは道が「虐待あり」と判断し、毅然と認可取り消し処分を下した。
一方のルミエールは、経営的にはなんら不利益を受けることがない改善命令にとどまったため、現在も通常どおりの事業継続を続けている。
その後もルミエールは、市が虐待の判断を避けたことを逆手にとり、虐待は一切無かったと開 き直り、虐待の再発防止策を真剣に取り組むこともなく、改善命令の趣旨とは逆行する事態に至る。
2.これまでの経過(虐待内部告発~改善命令~現在の実態)
2004(H16)年
5月下旬
札幌市へ「ルミエールで虐待が行われている」と利用者家族から通報が入る。
6月8日
札幌市、施設を緊急調査し徹底調査を指導。後日、施設は「虐待なし」と市へ報告。
6月27日
パート介護職の多田めぐみ(組合員)、同僚(男性)の虐待行為を目撃。長沼施設長(当時)に報告。
8月11日
ルミエールの鈴木則子副施設長(現・施設長)は個人面談を開始し、多数の虐待事例を把握する。 しかし「虐待を確認できなかった」として全て隠ぺいする。
8月27日
札幌地域労組、札幌市に対しルミエールにおける5件の虐待を内部告発、行政指導を申し入れる。
10月1日
札幌市「虐待が強く疑われる」と中間報告を発表。
10月1日
ルミエールは、虐待を組合に報告した2名の組合員、札幌地域労組、道新など計6者を名誉棄損で札 幌地裁に提訴(慰謝料1500万円)。
10月4日
利用者家族、母親の虐待被害についてルミエールを提訴(慰謝料200万円)
12月20日
札幌市、ルミエールに対し老人福祉法に基づく3点の改善命令と7点の改善指導を出す。 (虐待問題での行政処分は全国初)
12月22日
道石狩支庁は、ルミエールに対し「管理者としての責務を充分果たしているとはいえない」として 実地指導の結果を通知、改善報告を求めた。
2005(H17)年
1月13日
介護職員(女性)が入所者の足ツボを押す虐待事件発生。組合がこれを指摘するが施設は「虐待では ない」と結論付ける。
7月~8月
介護職員(女性)が3件の虐待を行う。組合員が施設の事務局長にこれを報告するが、「本人が否定し ている」との理由で、「虐待ではない」と結論付けられる。
2006(H18)年
1月~
二つの民事裁判で証人尋問が開始される。組合が告発した以外にも、多数の虐待事例が明らかとなる。
3月
道は、「虐待があった」と判断し、手稲区のグループホーム「いちわ」の認可を取り消す。
4月
組合は、改善命令が履行されているかを4回の労使交渉を通し検証。改善命令が殆ど履行されていな いことを確認。本日(06.5/17)厳正な指導を求め札幌市へ申し入れ。
3.事業者
法人名:社会福祉法人公和会/理事長、長沼政幸(札幌ロイヤル病院 院長)
施設名:特別養護老人ホーム・ルミエール/施設長、鈴木則子/開設2000年4月1日(介護保険制度の開始日)
住 所:札幌市白石区東札幌1条3丁目1番1号/電話 011-825-2555
以 上