組合脱退の証明を求めたのはなぜ?
10月16日、札幌地裁にて多数の傍聴者が注視するなか、前回に引き続き 利用者への虐待が疑われるK元職員への反対尋問が行われました。
組合が内部告発に動く直前の2004年8月18日、K職員は施設側から夜勤を外されそうになったことから、札幌地域労組に「守って欲しい」と電話しましたが、地域労組は「虐待疑惑がある以上、あなたが夜勤を外されるのは当然」とK職員の訴えを退けました。
それに憤慨したK職員は直ちに組合を脱退、 さらに組合に対し「施設側に自分が脱退した旨の証明書を出せ」と要求し、 組合はこれに応じました。
本来、組合脱退は組合内部の問題なので、通常は 使用者に通知する必要はありませんが、この時は施設側の反応を確かめるため、 あえて彼の「要望」に応えました。
今回の証人尋問で、川村弁護士の「なぜ、組合を抜けたことを施設側に伝えろと言ったのか」との問いに、K証人は「施設と組合は仲が悪かったので、組合を抜けて施設に守ってもらおうと思った」という主旨の証言をしました。
組合を強く嫌悪する施設長の体質を良く理解していた彼は、組合を抜けさえすれば虐待行為が免罪されるのでは、と考えたのでしょう。
そしてその通り、長沼 施設長は彼の組合脱退をもって「これは冤罪の可能性もあるのよ」などと言い出し、虐待目撃を報告した多田さんを弾圧する方針に切り替えたのでした。
なぜ「濡れ衣」を放置したのか?
K職員は一貫して虐待疑惑は「濡れ衣」であると主張しています。
もし本当に 「濡れ衣」であれば解雇になるかもしれない重大事に黙っていられるでしょうか。
裁判所もこの点に着目し「自分の身を守るためにどういう行動を取ったのか」と K証人を問い質しましたが、彼は明快に答えられませんでした。
彼は、自らにかけられた虐待疑惑を積極的に弁明すれば、白黒の決着が着いてしま うことを恐れたのでしょう。
それに加え、施設側も多田さんを含む5名の職員から得られた6名の利用者に対する虐待情報について、検証することをあえて避けたのです。
それは施設側自らが「虐待が事実である」と確信していたからにほか成りません。
※なお、K元職員はその後、ルミエールを自ら「円満退職」しています。彼は現在 も「潔白」を誇示するかのように、時々ルミエールのイベントに顔を出すなど、施設長らと友好的な関係にあります。
傍聴人の感想
K証人は相変わらずの強気でしたね。組合がダメなら施設に身を守っても らおうと思った、というあまりに素直?な発言には思わず笑ってしまいました 。(札幌パートユニオン)
彼は当時の事に責任も何も感じてないようだ。罪に問われる訳ではないから、 しらを切れるだけ切ればいいと変な自信が感じられた。もしかしたら、たくさんあり過ぎて本当に詳しくは覚えてないんだろう。(ルミエール元職員)
内部告発によって、こういう人たちを辞めざるを得ないところまで追い詰めただけでも、利用者にとって本当に良かったと心から思いました。(介護施設職員)
今後の展開は?
年明けから続いた証人調べは一応これで終わり、何度かの口頭弁論を経た後、今後 2~3ヶ月のうちに裁判は結審し、さらにその2ヶ月後くらいに判決が出されるもの と思われます。
私たちは、来たる判決を絵に描いた餅にしないために、虐待を放置・隠ぺいし続け た現理事長や施設長の社会的責任を厳しく追及するとともに、市や道にルミエール経 営者に対する厳しい指導・処分を要求していきます。
今後とも全国の皆様のご支援を訴えます。