3月30日、札幌地域労組ルミエールユニオンは、約1年ぶりに施設側と団体交渉を行いました。 組合側は、この間の2つの裁判に提出された証拠で明らかとなった数々の虐待行為について、 施設として改めて調査し、利用者や家族に対し誠意ある謝罪や保障を行うべきではないか、 と申し入れました。
しかし、ルミエールの城田仁事務局長は、「その問題は組合とは話す義務は無い」 と開き直り、あくまでも虐待事件を検証しない姿勢を強調しました。
組合は、施設が過去の過ちを正面から見据え、その反省に立ってより良い施設を作っていくというのなら 、喜んで施設側に協力していくが、今後も施設が虐待隠ぺいの姿勢を貫くのであれば、幹部の退陣を求めて徹底追及していくと抗議しました。
「実際(虐待を)見たと言っている人がいるのに、なぜ調査しないのですか」
これは、鈴木則子施設長への証人調べの際、裁判長が投げかけた率直な問いです。ルミエールでの出来事を目の当たりにすれば、 誰もがそう言いたくなると思います。
就業規則を周知せずは労基法違反
今回、ルミエールは就業規則を変更することを明らかにしました。
そこで組合が「就業規則を周知徹底させ ていないのではないか」と質したところ、城田事務局長は「各フロアーに一部ずつ配置している」と答弁しました。
しかし、組合が再度確認したところ、就業規則は組合専用に渡されている一冊を除き、施設内のどこにも配布されていないことが明らかとなりました。
この事実について、城田事務局長は「私が就任して以来、各フロアーに就業規則 があるかどうかは確認していない」と述べ、労務管理者としての怠慢ぶりが明らかとなりました。
就業規則の周知徹底を怠るのは、明らかに労働基準法に違反(30万円以下の罰金)する違法行為です。
昨年、施設側は組合の反対を押し切って、定期昇給額をそれまでの3千円前後から一律千円に引き下げる就業規則の不利益変更を強行しました。
しかし、その就業規則が一切周知されていないことが判明した以上、不利益変更された 就業規則自体が無効になる可能性が出てきました。
ワーキングプアーに鞭を入れる査定制度
昨年5月、札幌地域労組は札幌市に対し、ルミエール介護現場で派遣・パートが80% を超えている実態は2004 年の改善命令に違反しているので、再度ルミエールを是正指導するよう要請しました。
その結果、ルミエールは昨年8月に20 名の派遣スタッフを渋々直接雇用に切り替えました。
しかし、 イコール正職化ではありません。
ルミエールの介護スタッフの半数以上は一年契約の準職員扱いで、月5~6回程度の 夜勤手当を含め年収210万円前後のワーキングプアーです。
今回、施設側が計画する(周知していなかった) 就業規則の「改正」は、このワーキングプアー賃金を査定し、「評価」が悪い場合には更に賃金を引き下げるという 驚くべき内容が目玉となっています。
ルミエールは昨年、組合が虐待常習の疑いがあると何度も指摘した人物を「評価」し、副主任に昇格させた事実があります。
また、事実上労務担当のトップにある事務局長は、労務管理のイロハである就業規則の周知を怠っていましたが、 そのような幹部はマイナス査定が当然と思われるところ、事務局長は「査定の対象外」とのこと。
加えて、長沼理事長をトップとする法人幹部らが虐待事件の真相究明に着手しない事実は、明らかに老人福祉法に抵触していますが、自らをマイナス 査定する 気配は全くありません。
このようなデタラメ運営を続ける経営幹部に、査定をさせることを許す訳には行きません。
まともな生活が送れる賃金支給なくして、職員の定着率向上や熟練介護スタッフの育成はあり得ません。
ルミエール裁判 いよいよ結審
ルミエールにおける虐待の有無と、それを内部告発したことの是非が争われてきた2件の裁判は、提訴から2年半を経て本年4月9日にようやく結審を迎える予定です。
近日中に判決日をお知らせします。