この記事では、ルミエール虐待事件裁判における、多田めぐみ氏の陳述書を公開します。
かなりの長文になりますが、なるべく読みやすいように編集しましたので、是非ご一読ください。また、いつもご支援をありがとうございます。引き続き宜しくお願い致します。
陳 述 書
平成17年10月15日 本訴被告(反訴原告)多田めぐみ 本件訴訟について、以下のとおり陳述します。
1、職歴などについて
- 社会福祉法人公和会が経営する、特別養護老人ホームルミエール(以下「ルミエール」といいます。) における勤務歴は、平成13年5月に採用され、以降は現在まで介護職員として3階に勤務しています。
- 札幌中小労連・地域労働組合(以下「札幌地域労組」といいます。)を上部団体とする労働組合、 幌地域労組ルミエールユニオン(以下「ルミエールユニオン」といいます。)における組合員歴は 、結成時の平成14年7月に加入し、会計監査役をしていましたが、平成16年9月より委員長をしています。
2、「申入書」の事案(1)~(5)について
(1)事案(1)については、平成16年6月27日午前5時45分頃施設内の325号室にて私が目撃しました。
私が325号室のQさんの更衣と、Fさんの排泄交換を平行して行っている時、K職員は326号室の Gさんの更衣を終えて325号室に入ってきました。
Aさんの介助を始めた K職員は、排泄交換中にAさんが自分の手でお尻を掻いた事に腹を立て 「なんで掻くんだ!汚ねぇだろ!」と怒鳴りつけ、Aさんの頭を平手で叩いていました。
Aさんは「ごめんなさい、もうしません。」と謝っていましたが、また繰り返しお尻を掻いてし まったらしく何度も叩かれていました。
その後K職員はAさんの更衣を終えて、ベットから車イスに移乗しましたが、車いすに乗せてか らも頭を叩いていました。
間仕切りのカーテンは全て開けていたのでFさんのベットからは完全に見える位置です。Qさん のベットからは見えませんでしたが、物音や声でQさんは泣いていました。私は声もかけられず 止めることもできませんでした。
(2)事案(2)については、平成16年5月はじめから6月中旬にかけて私が目撃しました。
私が3階食堂で利用者さんの食事介助や投薬をしている時に、K職員が同じく食堂でBさんの介助に入っていて、お茶や食事が進まない事に腹を立て「飲め!」と言って、頭をげんこつで叩いているのを見ました。
私はこの時期の食事時やおやつ介助時に、同じ光景を複数(少なくとも2回)は目撃しています。
また、平成16年7月31日の夜勤勤務中に、I職員とJ職員の二人から、私が見た事実とほとん ど同じ行為を目撃していることを聞きました。
私たち三人は話をしていて、それぞれの時期やK職 員の行為もほぼ同じだった為、見ていたのは自分だけでなかったんだと安心しました。
I職員は当時のBさんの個人記録に「頭頂部に痣を発見する」と記載されていた事実から、「何度 もげんこつされて、あざが出来たんだと思う」とも言っていました。
(3)事案(3)については、上記と同じように、平成16年7月31日の夜勤勤務中にJ職員から聞きました。
話を聞いて、被害を受けたCさんの当時の食堂の席が、事案(2)の被害者であるBさんの向かい側で、両氏ともに認知症のため食事と水分の摂取が困難な状況であった事から、K職員がBさんだけ でなくCさんにも腹を立てて、同じように叩く行為があったと十分想像できる内容でありました。
J職員によると「K職員は、BさんとCさんの間に立ち、食事介助中に二人を交互に叩いていた。」 と言っていました。
(4)事案(4)については、平成16年5月のはじめ頃私が目撃しました。
11:30過ぎに私とK職員は、3階食堂で昼食の準備をしながら居室にいる利用者さんを順に起こし ていました。
私が301号室のRさんを起こしに行くと、K職員は同室のDさんを起こそうとしていました。
K職員は、Dさんがなかなか起きたがらない事に腹を立てて動作をせかしたり、「早く着れって」 と言って服を投げつけたりしていました。(Dさんはベットにいる時いつも全裸か、下半身裸で横に なるのが特徴でした。)
Dさんが、起きようとしてK職員に手を差し伸べた時、「汚ねぇだろ、触る な!」と言ってその手を振り払いました。
その後ベットに端座位になって下着をつけようとしているD さんの頭を平手で叩きつけました。DさんはK職員に「叩かれたと。おっかない人だと。」と言っていました。
私はRさんの介助をしたり、301号室前のトイレにいる利用者さんに対応したりと、行ったり来たりし ていました。
(5)事案(5)については、平成16年の7月23日と8月10日の夜勤勤務中に二回に渡ってY職員から聞きました。
一度目は、夜勤中に私がK職員の件について「施設の対応が遅い」と話しをしていると、Y職員は 「実は私も色々と見たことがある。」と言いました。
しかし具体的にはなかなか話をしようとしなかったので、話をする事自体に勇気が必要なんだと思い、無理に聞き出すことはやめました。
その後8月10日の夜勤で、私達は再度虐待問題について話しました。
その間に施設内では、K職員が暴力行為を真っ向から否定したことが噂になっていて、個人面談も始まっていました。
Y職員 は自分なりに考えていたようで、決心したように「313号室のEさんの居室で、新人職員と二人で介助をしていた時にK職員が入ってきEさんを叩いたのを見た。」と話してくれました。
その真剣な様子なら、 私はY職員も悩んでいたのだと思いました。
3、上司への報告について
(1)事案(1)について
平成16年6月30日の9:30頃3階の西側階段の渡り廊下にて、長沼 倭文子(しずこ)施設長を呼びとめ、「ある職員と二人きりの勤務中に暴力を見た、他にも同じように見てし まって悩んでいる職員がたくさんいるが、目安箱は誰が投書したかわかってしまうので、皆できないと言っている。
もし情報が入っているなら、施設長からすぐに注意してもらえませんか?」と報告した。
施設長はそれほど驚いた様子ではなく、「組合員さんの名前があがっているから、いま組合 を通して話し合っていこうと弁護士さんに相談しているところです。証拠を集めたいから投書して ほしい」と言いました。
それまでに施設長の耳にK職員の名前が入っていたようで、「何を見たの? どんなことしてる の?Kさん?」と問いただされ、私は頷き「叩いたり、ベットからひきずり降ろそうとしたり。」と話し、 さらに「組合で話し合うのでは遅すぎる、今の現状ではお年寄りが一番困っています。この事は 組合以前の問題です。」と言いましたが、施設長は「言ってくれてありがとう」とした上で、「でも、 文字にしてくれないと証拠にならない。投書してほしい」と言いました。
その日の午後、施設長から 3階に内線電話があり「無記名でもいいから、投書してほしい」と言われ、7月初め頃に目安箱に 投書しました。この内容は平成16年8月25日の施設内の個人面談では詳しく説明報告しました。
(2)事案(2)と(4)について
目撃した日付けをはっきり覚えていなかったので、7月はじめの段階で は投書せず、詳しく聞かれることがあると思っていたので、その時は話したいと考えていました。
しかし、結局施設内の個人面談では事案(1)しか話しませんでした。
その理由は次のとおりです。
平成16年6月30日に施設長へ「暴力を見た」と報告して以来、私には再度聞き取り調査のようなものはなく、約2ヵ月後の8月25日に、施設内個人面談で呼び出されるまでは話を聞いてもらえませんでした。施設長の対応の遅さに大きな不信感がありました。
7月末頃からやっと個人面談が始まり、一番初めにK職員本人が呼び出されました。
後にH主任から、その場でK職員は私が投書した事案(1)を全面的に否定した。さらに、それを聞いた副施設長は「本人が否定している以上、なす術がない」と言っている事を聞かされ、 私は愕然としました。
施設として一番守らなければいけないのはお年寄のはずなのに、職員の扱い方ばかりに気を取られ、本人が否定したら「なす術がない」と言って終わらせるのだろうか、と強い憤りを感じました。
8月17日にはO職員から、喫茶店へ呼び出され、「多田さんとK職員を仲直りさせる事は出来ないかと施設長から頼まれた。施設長もどうしていいかわからないといっている。」などと言われました。
施設長のこの対応に大変疑問を持った私は、内部では解決できないと強く思いました。
施設長はK職員の暴力行為を知ってからも、K職員を勤務から外すことなく、通常勤務を許していました。
8月18日に出された8月21日~9月20日までの勤務表でもK職員は異動もなく、夜勤すら外されていませんでした。
私は施設長へ暴力を報告して以来、約2ヵ月間K職員と毎日 顔を合わせ、同じ階で働き続けている中で、K職員やK職員を支持する職員から、あからさまに無視され、業務中に近くの壁を蹴られるなど、精神的に追い詰められていました。
そして、8月25 日面談では既に施設に対する不信感が強く、何を話してもどうにもならないと思い、多くを報告しませんでした。
4、札幌地域労組への報告について
私は、上記のようにK職員の虐待行為について施設長に報告した際、施設長が「組合を通して話し合う、弁護士に相談する」と言ったので、単に組合関係者にも報告しておかなければならないと思い込み、平成16年7月2日夜、当時ルミエールユニオン委員長代理であったM職員に電話をかけ、施設長にK職員の行為を報告した旨を説明し、同様に平成16年7月3日の夕方に、上部団体である札幌地域労組の書記長・鈴木一さんにも報告しました。
その時は、札幌市への告発などはまったく念頭になく、「自分の発言によって組合が仲間割れしてしまうかもしれない、施設長は組合で話し合うと言っているので、施設から、何らかの動きがあるかもしれない。」と、鈴木さんに話しました。
また、この段階で 鈴木さんは「施設の対応を待ちましょう」と言っていました。
平成16年7月下旬にはK職員が暴力を否定した事や、施設の対応が遅い事、今施設内では同僚から 冷たい仕打ちを受けている事などを2回ほど電話で報告した記憶があります。
この電話で、鈴木書記長に、「施設がこのまま動かないのであれば、組合としてはこの事を市に告発するという考えもある。」というような内容のことを言われましたが、私は「そのことよりも、今の施設の状況を悩んでおり自分の辞職なども念頭に置き、組合に相談にのってもらいたい。」との旨を伝えた。
平成16年8月6日の午前中に、札幌地域労組の事務所を訪れ、鈴木書記長に虐待の詳しい話をし、 今までの施設内の動きの経過を報告した。
その上で、K職員が通常勤務を続けている事は大変問題であるということや、施設長の対応ぶりでは内部では解決できないのではないか、等と相談をしました。
その際、鈴木さんから「これがこのまま放置されるのであれば、大きな問題であるから、多田さん以外の他の職員の目撃証言も聞き取れれば聞取ってメモにしておいた方がほうが良い。」と言われました。
平成16年8月10日には、坂本典子職員と二人で再度札幌地域労組を訪れ、私以外の職員も虐待の 事実を認識している事などを話しました。
8月18日に、K職員が組合を脱退し、同日、彼がこのまま通常勤務を続ける勤務表が発表された段階で、私は施設長の対応に大きく不信感を抱き、施設内でこのままK職員と顔を合わせて働くのは耐えられないとの思いが募り、この問題を組合が市に申し入れするという話に同意する決断をしました。
5、O職員(前ルミエールユニオンの委員長)との会話について
平成16年8月17日、O職員よりメールで呼び出しがあり、夕方施設近くの喫茶店にて二人で話をしました。内容は以下のとおりです。
【O職員】
今日の昼間、施設長室に呼ばれて、施設長と副施設長の二人から、Kくんの問題について どうしたらいいかわからない、できれば組合員同士で話し合って何とかできないか? と相談された。
僕もK職員と多田さんが話し合いをして和解できれば、施設内で解決できると思う。 地域労組の鈴木さんによって、市や道に話が行くと、K職員も辞職に追い込まれるし、施設の存続すら危ない。それは避けたい。
【多田】
Oさんは、この問題のことをどう聞いているかわからないけど、事実Kくんの仕事が前から荒かった事、暴力を振るっていた事、今そのことをやってないといっている事、どう思う?
【O職員】
2年くらい前に、K君と二人で、じっくり話したことがあって、お互いの長所や短所について話した。
そのとき僕はK君に、何でもリーダーシップをとって行動力があるところは尊敬できるけど、お年寄りに対してたまに荒い事をするのは良く思っていないよ、と正直にいった。
Kくんも自覚していて、そういう所は自分でも治せないんだ、と言っていた。
僕は今回の事につい て、K君は暴力行為はしていないと言ってるけど、本当は心あたりがあるけど、認めたら辞めなければならないし、言い出せないんだと思う。
【多田】
私はKくんだけが悪いんじゃない、解決するのが施設の責任だと思ってる。このことが起ったのも、きちんとした職員教育してなかったからだし、施設長が今回のことを解決できないからって仲 間同士で解決しろって、Oさんに頼むのもおかしい。
【O職員】
僕は誰も辞めないでほしいだけ。K君と話し合ってほしい。
【多田】
Kくんはやってないって言ってて、私はやったって言ってる。仮に私が話し合ってもいいと答えても、K君が話し合いたいと思ってるとは思えない。
【O職員】
Kくんが話し合ってもいいと言ったら話し合ってもらいたい。(後日、K職員も話し合いたくないとOさんに答えたそうです)
6、虐待問題が表面化した後(8月26日の北海道新聞社取材以降、現在まで)の施設側からの嫌がらせについて
(1)平成16年8月26日 11:00頃
入浴介助中にS主任に「1階の会議室にきてほしい」と呼び出され、 会議室に行くと、施設長・副施設長・S主任の三人が座っていました。
そこで施設長から「新聞記者から取材の電話があったので、取材に応じなければならない、どうしてこんなことになったの!」と怒鳴られました。
【施設長】
施設をどうしようっていうの?施設をつぶしたいの?
【多田】
つぶしたいとか、何も考えてなく、私はルミエールがよくなってほしいっていうだけで。
【施設長】
こんなことになって良くなりますか? こんな話を聞いて誰が自分の親を預けたいって思うの! 自分のしたことわかってるの?
【多田】
私は、施設長に言ったり、投書したのも、ここが良くなってほしいと思ったからです。
【施設長】
だいたい、あなたが見たことって言っても、詳しい話は何も聞いてないじゃない。日時まで詳しく私に言ってないでしょ。
【多田】
その時点では勇気がなかっただけで、覚えています。
【施設長】
私が名前や日時を書かないと証拠にならないから書いてって言ったのに、書きたくないって言ったのよね。
【多田】
でも勇気がないって言ったら、見た事柄だけでもいいから投書してって言ったきり、その後一度も詳しく聞かれたこともないし、施設長ともお話ししてないじゃないですか。
【施設長】
こちらには書かないで、地域労組には何でもベラベラ話して。見た事もう一度話して。
【多田】
「(内容を話す)」
【施設長】
叩いた回数は何回? 時間は何分間? 見たならきちんと言えるでしょ、詳しくわからないと証拠にならないの。
【多田】
叩いた回数は数えていないし、時間は時計で計っていませんが、だいたい4、5分です。
【施設長】
今、こうして個人面談の最中で、ハッキリ言うけど、ほとんどの人が多田さんのでっち上げじゃないか、多田さんはK職員のことを嫌いで言ってるんじゃないかって。
悪いけどあなたが利用者に枕を投げたとか、利用者に結婚しようと言ってその気にさせているとか、色んな証言が出てきてるの。
それを、あなたがしてないって言ったら私はどっちを信用したらいいの?
K職員が同じように言ってるけど、どちらが嘘をついてるなんてわからないでしょう? それを調査してる段階でなぜ取材がくるの?
【多田】
私は施設長に注意してほしかっただけで。
【施設長】
やったやらないの話しなら、あなたが施設長だったらどうする? まず、周りの話を聞くでしょう。だから面談をしていたんじゃない。
【多田】
面談が始まったのは私が言ってからずいぶん時間があいていて、悩んでいました。組合員の話だからと、Mさんや地域労組に話しました。
でもそれだけじゃなく主任、ケアマ ネージャーにも悩んでいることを相談してきました。組合にだけ話したんじゃありません。
【施設長】
でも現に私は日時を聞いていないんですから。
不確かな情報だけでK職員を辞めさせたり出来ないのはわかるわよね。やったやらないの話しなんだからK職員も呼んでここで 二人で話しをして頂戴。
【多田】
いやです、やめてください。
施設長がS主任に指示して、呼び出されたK職員が会議室に来た。もう一度説明しろと命じ、私はK職員にもう一度話し、覚えてるか聞いた。
【K職員】
言葉はかなり強く言ったかも知れないけど、叩いてはいないね。
【施設長】
暴力は振るってない?
【K職員】
暴力は一切ないですね。
【施設長】
多田さんに言いたいことはないの?
【K職員】
みんなに迷惑がかかるから嫌がらせはやめてくれる? 自分も迷惑だからやめてほしいですね。
【施設長】
多田さんは?
【多田】
ないです。
【施設長】
とにかく多田さんのでっち上げじゃないかって言っている人もいて、K職員もやってないっていっている以上、これは冤罪にもなりかねないのよ。
私、人の目を見るとその人の本当の気持ちがわかるの。私の目を見なさい。
私に3分間ほど目を見させ、K職員に1分間目を見させた。
(2)平成16年8月27日 8:30頃
出勤時に1階事務所の前を通り「おはようございます。」と挨拶をして過ぎようとした時、施設長が私を「多田さん、ちょっと」と呼びとめた。
私が事務所カウンターの中に入って行くと、ルミエールの記事が載った北海道新聞のコピーを目の前に突きつけ「見た? あなた個人を告訴します。」と職員の前で大きな声で罵倒された。
(3)平成16年8月28日 9:00頃
朝礼にて鈴木則子副施設長が職員に対し「ある一部の心ない人によって新聞報道があったのは皆さんも知ってのとおりです。」と言って、私を非難した。
(4)平成16年9月1日 17:30
職員全体会議が行われたが、事前にH主任より「副施設長が、多田さんと、坂本さんは会議には出なくて良いと言っていたから。」と報告あり、参加させてもらえなかった。
(5)平成16年9月1日~9月30日
通常3人体制で行われる夜勤業務を、私と坂本さんの勤務の時だけ4人体制に変えられた。
(6)平成16年9月7日
1階の施設長室に呼ばれ、午前に北海道新聞から取材の申し込みがあったことで、施設長から「あなた、また道新に言ったの? どうして内々で済ませられないの?」と怒鳴られた。
(7)平成16年9月28日 19:00
施設が利用者家族へ虐待問題に関する説明会を開催したが、その場で、私が事実を説明したのに対して、K職員やK職員を支持する職員を前に出るように指示し、私の発言を否定するように仕向けた。
この内容は乙第B第2号証のとおりです。(利用者家族への説明会MD録音反訳)
(8)平成16年10月1日
法人は私と坂本さんに対して本訴訟を提起した。
(9)平成16年10月12日 10:15
3階詰所で、S主任から「多田さん、10月21日以降のシフトからは早番 と遅番もやってもらうから、施設長命令だから。」と、突然の労働条件の変更を言い渡された。
同日14:30に私が「組合を通して話し合いたい。」とS主任に告げると、10月13日に撤回された。
(10)11月11日 10:00
城田仁事務局長に呼ばれ1階相談室にて、虐待問題について、札幌市に申し入れした事や、外部に公表した事について、施設長に謝罪するよう求められた。会話の内容は以下のとおりです。
【城田】
坂本から話し聞いたか?
【多田】
何か話しあるから呼ばれると思うよ、とは言われてましたけど。
【城田】
そう。話って率直に、今の状況って良くないよね、良いとは多田も思ってないでしょ。 虐待の話だって、みんな腫れ物に触るみたいだもんな。誰もその話をしないだろ。
【多田】
状況は良くないと思っていますけど、私たちはどうすることも出来ないです。
【城田】
いや、だから、施設だって悪いところあったんだし、今から全部やり直すにはお前たちだって悪いところあったんだと思う。俺から見たら、やり方を間違ったんだよね。
【多田】
やり方ですか? でも、私は主任にも施設長にも注意してほしいって言いましたよ?
でも、K君がやってないって言い張ったら、やったのやらないのって水かけ論になって、誰も信用してくれないから組合に相談しました。間違ってないとおもいます。
今振り返っても、施設の対応がきちんとしていたら、こんな風にならなっかたと思う。
【城田】
施設長も反省してると思うんだ、この関係がずっと続くのはルミエールにとって良くない。根っこの部分はそこなんだ。
その為にも、みんな悪かった所は謝って、そこから始めたい。
【多田】
そもそも、初めて話したようなものなので、私と城田さんの間に信頼関係がない。まず聞きたいんですけど、城田さんは私の告発した内容を信じてくれているんですか?
【城田】
その話を、じかに聞きたかったてのもあって呼んだんだ。聞かせてもらえる?
【多田】
「(Aさんの事案を話す。)」
【城田】
それさ、申し入れ書とはちょっと違うけど、申し入れ書は鈴木一が手を加えて作ったの?
【多田】
どこが違います?
【城田】
5~6分乱打って、なってるしょ。
【多田】
平手で叩いて、言葉でも怒鳴っていたけれど、着替えさせたりもしながらなんです。
その後、 ベットから車イスにのせて、朝食のために食堂に行くんですけど、車椅子に乗せてからも叩いていたんです。 その間5~6分あったという意味です。
【城田】
でも、どう? 新聞とかでは、話大きくなっていたでしょ?
【多田】
どちらも自分が話した事実がそのまま載ってます。
【城田】
事実は、99%多田が嘘を言ってると思えない。今聞いても信用できる。
でも、組合の鈴木が悪い。 このことを相談されたら、施設とお前たちの間で解決策を考えるのが常識だ。
それを市に言って、 新聞に載せてTV出ろって、普通じゃないよ、利用されたんだ。
【多田】
実際、はじめから組合を頼ったわけではなく、施設長に頼ったんです。
でも誰も助けてくれなかったんです。主任もケアマネージャーも、同僚も。みんな関わりたくないって。
そのうち施設長はK君の肩をもって。信用されないって、私たちの立場だったらつらいですよ、はっきり言って。そこで、話を聞いて一緒にやってくれたのは組合とかだったし。
【城田】
お前と坂本は悪いことしてないんだから、やり方を間違ったってことで、施設長と利用者家族に謝れないか。施設長と話し合う場はちゃんと作るから。
施設長だって、新聞報道が続いて、どうしようもなくて、告訴に踏み切った。正直本当は色々考えてる。
【多田】
どうしようもなくてって、訴状にはハッキリと私たちがでっち上げた情報を色んな所に話した、 名誉毀損って書いてありますから。
施設長は、私たちの言った事を信用してないって思ってました。
【城田】
違う、違う、お前らの言った事実は認めてるんだよ。でも、組合と新聞社のやり方が許せなくて、 それが名誉毀損って事さ。
【多田】
K君のこと信じてるんじゃないんですか?
【城田】
信じてないよ。S主任も限りなく黒に近いってハッキリ言ってるし、俺自身もきっとやったんだろうって思ってる。
【多田】
そんな事言われてもどうしたらいいんですか。K君は認めないでしょ。そしたらどうするんですか?
【城田】
彼はもう、やったとは言えないんだろ。
でもある程度の何人かは、見たっていうのも聞いてるし、そこはやっぱり解雇か、もしくは用務に下ろすか、俺はそうしようと思ってる。
それにはやっぱり、お前らが話し合いに応じる気があるのかないのかさ。
【多田】
事実を認めてくれるなら、そのとき考えます。
【城田】
やり直す事が出来るなら、このまま組合を存続させるのは、どうかと思うけど、そこはどう思う?
【多田】
そこは、今すでに組合が存在していて、私たちが組合員なんですから自分たちで考えることです。
【城田】
ま、この話は今はまだいいけど。再スタートを上手く切りたいって思っているから、まずは話し合いをしてほしい。
(11)平成16年11月15日 16:00
H主任より「11月21日からのシフトで人事異動があり、多田さんは3階から2階に移動になる」と報告された。
同日の18:00頃、詳しく聞くと、13:00からの幹部会議で人事異動が発表され、H主任が異議を唱えたが却下されたとの事。
異動は私をK職員と同じ階に配属するもので、後日組合が要求し、撤回となった。
(12)平成16年12月28日
3階詰所にて、その日に発見された利用者の痣について「職員がやった に違いない!」激怒していたL看護主任に、職員の前で「多田さん、これ外に漏らさないでね、こんな大事なときに、こんなことが外に漏れたら認可取り消しでしょ、たまったもんじゃない。言わないって約束して。」と執拗に言われた。
7、家族説明会での発言内容について
内容は、乙B第3号証のとおりです。(利用者家族への説明会MD録音反訳)
8、集会での発言について
(1)私は平成16年10月1日、札幌地域労組が主催した市民集会にて以下の内容の発言をしました。
- 市への申し入れ書について、目撃した内容
- 申し入れ書に記載している利用者への不適切処遇について
- 施設長に報告してからの虐待問題の経緯
(2)私は平成17年2月23日、札幌地域労組が主催した市民集会にて以下の内容を発言しました。
- 市への申し入れをしてからの虐待問題の経緯
- 平成16年10月に同僚から「まだ虐待はある」と打ち明けられた事(内容は話ていません。)
- 平成17年1月に発覚した同僚の虐待行為の内容と、その時の施設の対応について
- 未だに不適切処遇が続いている現状について
9、その他
私は、年々顕著になり始めた虐待問題に危機感を感じてはいたものの、自分の立場を守ろうとする 気持ちが強く、結局K職員や他の職員に対して直接の注意は出来ませんでした。
しかし、自分のできる 範囲のことをして施設長に現状を知ってほしい、何とかしてほしいと思い行動してきました。
まず、平成16年5月末に施設内の苦情処理体制を通じて、323号室のTさんが「職員に脅されている」(N職員とK職員の2名を特定できる情報)と訴えてきた内容を施設長に伝えました。
その矢先、匿名の情報との事で札幌市への投書があり、にわかに虐待疑惑が持ち上がりました。
そのことで施設内で会議が開催されましたが、皆そろって口を閉ざしていました。静まり返ったその場で、私は挙手し、「管理職にも夜勤に入ってほしい」と要請しました。
「管理職がいるから、きちんと仕事をするのでは意識が低すぎる」との理由で、私の意見はすぐに却下されました。
施設はこの時、すでに少なくともTさんからの情報を手に入れていたにも関わらず、真剣に取り 組みませんでした。
対応策として、目安箱が設置されて以降も、私はK職員やその周りの同僚が怖くて投書できずにいました。また、私の周りの同僚も仲間割れを恐れて、投書できないと言っていました。
そんな時、6月27日のK職員との夜勤勤務中に決定的にエスカレートした行為を目撃しました。
私が施設長に話すまでに3日間悩んだのは、この日の夜勤中にK職員は自らの暴力行為を告白した上で、圧力とも取れる言葉を私に言ったからです。
内容は次のとおりです。
この間の夜勤中に、U(●●号室の利用者さん)の更衣に入った時、言う事聞かなくて、腹立って ベットから引きずり下ろしてやった。一緒の夜勤だったP(職員)がびっくりしてた。
最近、俺のことを告げ口している奴がいるようだ。このあいだの札幌市への投書もきっと、施設内の職員だ。
俺はそいつを絶対許さない。もし、何かあったら、俺はそいつを辞めさせてからじゃないと辞めない。
この発言が私の中では脅迫のように聞こえ、しばらくはどうして良いかわからなかったのですが、 とにかくお年寄りに何かあってからでは遅い。
施設長はK職員の情報を聞いているはずだから、 真剣に取り組んでほしいと思い、今度は施設長に直接悩みを聞いてもらおうと決心したのです。
6月30日、施設長と話しているその瞬間ですら、直接自分の見たことを話してしまったらK職員にわかってしまう、という気持ちが先に立って恐ろしかった事をはっきり覚えています。
その気持ちを汲んで適切な対処をしてくれていれば、内部で解決出来たことだったのではないかと 、今も悔しい気持ちでいっぱいです。
施設内で起きた事は事実です。私が見たことは忘れられない事実です。
以 上