ルミエール虐待事件裁判 鈴木一 陳述書

ルミエール虐待事件裁判 鈴木一 陳述書

この記事では、ルミエール虐待事件裁判における、札幌地域労組・鈴木一書記長の陳述書を公開します。

長文になりますが、なるべく読みやすいように編集しましたので、是非ご一読ください。また、いつもご支援をありがとうございます。引き続き宜しくお願い致します。

 

陳述書

2005年10月15日  被告 鈴木一

 

1、札幌地域労組について

(1)組織

札幌地域労組は正式名称を札幌中小労連・地域労働組合といい、現在、札幌市周辺の約100職場の中小企業の労働者約3000名が職場単位の労働組合(単組)で加盟しています。

そのうち、約30組合が保育園や障害者施設、老人ホームなど、社会福祉法人が運営する職場です。

大きな特徴として、個人でも加盟できる札幌管理職ユニオンや派遣ネットワークなどの組織を持ち、労働者の「駆け込み寺」として不当解雇や賃金未払いなどの労働相談に対応しています。

なお加盟組合のうち、ルミエールユニオンなどの高齢者施設の約15組合は、自治労傘下の北海道福祉ユニオンに二重加盟しています。

 

(2)私の役職歴

私が現在の組合専従に就いたのは1990年2月からで、その年の12月の定期大会から書記長に就任し現在に至ります。

他の役職としては、全国コミュニティ・ユニオン連合会(全国ユニオン)の副会長を務めるほか、北海道福祉ユニオンの副委員長なども兼務しています。

私の仕事の主な内容は、地域からの労働相談に対応するなかで、使用者と交渉しトラブルを解決に導くことや、紛争になっている加盟組合の団体交渉に出席することなどです。

中でも労働相談を通じ、労働者に組合結成の意義を宣伝し労働組合の結成に導くことは、私の最も重要な仕事です。

 

(3)ルミエールユニオンの組織

ア、組合結成

私とルミエールとの出会いは2002年6月頃、ルミエールに勤務する20代前半の介護労働者3名が職場の問題で相談に訪れたことです。当時の記録から、彼らが私に訴えた職場の主な問題点は次の通りです。

①施設長が福祉や介護についての知識が乏しく、職員の勤務状況を把握しておらず、また、利用者の顔と名前を覚えていないなど、施設長の管理能力や運営姿勢に対する不満。

②有給休暇を取ると賃金カットのペナルティーが課せられたり、残業手当が殆ど支給されないなどの労働基準法違反がある。

③職員の殆どが介護労働の未経験者であるにもかかわらず、介護に関する教育や研修を満足に受けさせてもらえない。

 

私はそれまで問題のある福祉職場を数多くみてきましたが、ルミエールのケースはどこから職場改善に手をつけるべきか当惑するほど、かなり重症なケースでした。

その状況を何とか改善したいとする、若い介護労働者たちの思いをエネルギーに、同年(2002)6月29日ルミエールユニオンの結成にこぎつけました。

 

イ、長沼施設長の異常な対応

私はこれまで組合の無かった職場約150ヶ所に、新たに組合を結成してきました。この組合結成が、経営者に歓迎されることはまずありません。

しかし腹の中では愉快ではないとしても、経営者の皆さんも私たちの「自主的な労働組合の結成は、認めていただくしかない」旨の説明を聞き、最終的には組合結成の意味を理解します。

ところが、ルミエールの場合は後にも先にも絶対に忘れることのできない強烈な組合結成通知となりました。

 

2002年7月1日、私は北海道福祉ユニオンの松岡敏裕書記次長とともに長沼倭文子(しずこ)施設長を訪ね、組合結成を通知しました。

すると、長沼施設長は堂々と「組合結成は認めない」と述べたうえ、組合結成通知書に記されたルミエールユニオンの役員を指し「この子たちが作ったのね。私が甘やかしたから舐められたんだわ」と組合に対する嫌悪感をあらわにし、組合があると施設がつぶれるなどと、あたかも労働組合が反社会的集団であるかのようなことを言い続けました。

私は、このような施設長では、直ぐに労使紛争になることを懸念して、「早急に弁護士さんに相談してください」と述べ、その場を後にしました。

 

私はわざわざ書面で、このような言動は不当労働行為となるからやるな、と具体例を示して申し入れしたにもかかわらず、ルミエールでは職員らを前に長沼施設長自らが組合結成を非難する言動を繰り返すという、典型的な不当労働行為が頻発しました。

その後、当時のルミエールユニオンのX書記長が病歴を理由に解雇されたことを契機に、札幌地域労組は北海道地方労働委員会に不当労働行為救済の申し立てを行いました(平成14年道委不第11号公和会不当労働行為事件)。

この事件はその後、係争中にX書記長の病気が再発したため、組合側は争うことを諦め金銭和解で決着しました。

 

その後の労使関係も、依然としてまともではなく、様々な問題が発生しましたが、ここでは本件虐待問題の本筋ではありませんので割愛します。

 

2、ルミエールの虐待を札幌市に告発した経緯について

(1)申入書に記載の事実の確認方法

ア、多田めぐみ、坂本典子両名からの聞き取り調査

2004年7月3日に組合員の多田めぐみから、同じ組合員であったK職員の利用者・Aさんへの暴行について長沼施設長に報告した旨を聞きました。

この時点では、私はてっきりK職員が解雇されるものと理解していました。

長沼施設長も多田さんに「良く言ってくれた」と感謝の言葉を発していると聞いていましたし、まさか組合として内部告発することになるとは、この時点では夢にも思いませんでした。

 

それ以降も多田めぐみから何度か電話で途中経過の報告を受け、ルミエールの組合員の多くが多田めぐみを「仲間を売った裏切り者」として扱う雰囲気になっていることを聞き「貴方が仲間の虐待行為を上司に報告したことは正しい。多田さんが周りから非難されても、札幌地域労組は必ず貴女を護るから頑張れ」と多田めぐみを励ましました。

 

多田めぐみの最初の報告から1ヶ月を経ても、ルミエールでは一向に虐待問題が解決に向かう気配がなく、そうかと言って、日々職員の暴力に怯えながら暮らす入居者を、このまま見殺しにする訳にはいかないと思い、私は内部告発することも念頭に置きながら、本格的に多田めぐみの話を事情聴取することにしました。

 

2004年8月6日午前10時頃から多田めぐみから数時間聞き取りをし、更に8月10日午前10時頃から多田めぐみ、坂本典子の両名から2時間程事情聴取しました。

場所は、北海道自治労会館3階にある札幌地域労組の事務所です。

その頃、多田、坂本両名には自分が虐待問題にかかわって、見聞きしたことのメモを作成するようお願いし、そのメモは申入書作成の際の基礎になるとともに、8月27日の市への申入書に資料として添付しました。

なお、これから起きるであろう様々な難局に備え、両名には常に職場でおきた出来事をメモにしておくよう指示しました。

 

イ、Uの反論

同年8月17日18時頃、ルミエールユニオンの委員長代行のUから私の携帯に電話があり、「K君が夜勤から外されそうなので札幌地域労組として護って欲しい」旨言ってきました。

私は、「K職員の虐待の疑いが濃厚である以上、夜勤から外れるのは当然だ」と述べると、Uは私が多田めぐみに騙されているのだと主張し、更に「虐待をしているのは多田さんの方だ」と言ってきました。

私は驚いて直ぐ聞き返しました。「多田さんの虐待って、具体的にどんなこと?」と何度か聞きましたが、Uは何も言いません。

それで更に「虐待って、叩いたりつねったりしているの?」と突っ込みを入れると「そこまでは無いです」と言いました。

要するに、多田めぐみも利用者に対する言葉が乱暴なことがあった、ということを言いたかったようです。これは、ルミエールではほぼ全員に当てはまるのではないかと思います。

 

私はUに「虐待問題に目をつぶるような組合なら解散したほうが良い」と述べ、多田めぐみを裏切り者扱いする組合の動きを牽制しました。

結局、Uの話からは、K職員の虐待が事実ではないという、具体的な反論は一切ありませんでした

 

ウ、K職員の反論

Uから電話を受けた翌日の同年8月18日午前、私の携帯電話にルミエールユニオン副委員長のKから電話がありました。

内容は「(多田から)虐待をしたと濡れ衣を着せられ、施設側から夜勤を外れるよう言われたので、組合で護って欲しい」というものでした。

それに対し私は、「虐待の疑いがある以上、夜勤から外されるのは当然。組合では、こういう問題で貴方を護らない」と述べると、唐突に「お前だって、さんざん悪いことしてきたくせに」と悪態をつくような捨てゼリフを吐き、短時間のうちに一旦電話を切りました。

 

K職員の私に対する態度からは、少なくとも具体的事実を並べ真面目に私を説得するとか「冤罪の疑いが掛けられ大変だ」というような真剣さが微塵も感じられませんでした。

それからしばらくして、再びK職員から電話が入り、組合からの脱退を通知してきました。

 

エ、確実なケースに絞る

私は最初から多田めぐみ、坂本典子両名の話を鵜呑みにした訳ではなく、ひょっとして大げさに言ってはいないか、ほかに目撃者がいないか、今後予想されるルミエール側の反論に耐えられるか、などの点を念頭に置きながら事情聴取しました。(既にこの時点で、最悪の場合ルミエールから訴えられることも覚悟していました。

 

そして多田めぐみに対しては、「今言ったK職員の行為を、ここでやってみて」と再現させることも行いましたが、彼女は直ぐにそれを再現しました。

私はこれによって、各虐待事件のうち5~6分続いたというAさんへの叩き方、食事介護の際のK職員の立った位置から車椅子の利用者にこぶしを振り下ろすというBさんへの叩き方、Dさんへの押し倒し方など、それぞれ実演を交えながら具体的に聞き出しました。

また、私はあえて同じことを何度も質問しましたが、多田、坂本両名の話は揺れることがありませんでした。

 

そして、既に退職していたX氏(組合結成直後に解雇されたルミエールユニオンの初代書記長)にも電話し、K職員が以前から利用者に対し暴力的な接し方をしていたことを聞き出しました。

 

こういうことを何度も繰り返しながら、ルミエールにおける高齢者虐待の有無を確認し、最終的にはルミエール側の反論に耐えうる5件に的を絞りました。

しかし本当は、もっと日常的に虐待が行われていたことが明らかであり、この5件は針の先ほどのケースでしかありません。

しかし、立証しにくいケースを含むと、今回の内部告発全体への信用が揺らぐことを懸念し、立証が可能なこの5件だけに絞ったのです。

 

(2)告発することを決めた動機、原因

内部告発の第一の目的は入所者への虐待・暴行を一刻も早く止めさせること、第二の目的は虐待の事実を上司に報告した多田めぐみ(後に坂本典子も加わる)を護ることでした。

 

多田めぐみや坂本典子は、虐待問題が放置される状況を何とかして欲しいと組合に窮状を訴えてきましたが、直ちにこれを外部に内部告発して欲しいと言ってきた訳ではありません。

内部告発はあくまでも私の判断であり、札幌地域労組としての行為であります。

私がルミエール虐待問題を内部告発しようと決断した大まかな経緯と理由は次のとおりです。

 

ア、2004年6月8日

札幌市が「虐待の通報があった」として緊急調査に入ったことに対し、ルミエールはその後も真剣に調査を行わなかった。

ルミエールの虐待問題に対する不熱心さ、不真面目さが分かります。

後に札幌市に聞いて分かったことですが、市はこの時点で「個別面談による調査」を指示したとのことですが、ルミエールはこれに従わなかったのです。

 

イ、同年6月30日

多田めぐみの長沼施設長に対する虐待目撃の報告に対し、多田が名前を言う前に長沼施設長の方から「Kさん?」と名前を出している。施設長が既にこの時点で、K職員の虐待を相当疑っていたことが分かります。

 

ウ、同年7月中旬から8月

この期間にかけて行われた投書や個人面談による虐待情報の収集により、ルミエールはK職員を含む複数の職員による相当数の虐待事例を把握するに至ったのは明らかでした。

 

エ、同年8月13日

ルミエールユニオン委員長のOは、私に対して「(多田が報告した虐待問題は)組合員同士のトラブルだから組合で話し合い、解決してもらいたい」と長沼施設長から指示されたと述べています。

このことから、ルミエールに虐待問題を解決する気が皆無であることが明らかです。

 

オ、同年8月17日頃

ルミエールは一旦、K職員を夜勤から外そうとしますが、同人の組合脱退がわかると、一転して同人の行動を「評価」します。

これにより、K職員の虐待は無かったものとして、一方の多田めぐみは「仲間への裏切り者」として扱われ、彼女にとっての職場は針のムシロと化していく流れが決定的となりました。

最終的に組合が「内部告発するしかない」と決断したのはこの時点です。

 

(3)告発を記者会見した理由

本件内部告発をする約3ヶ月前である2004年6月8日、札幌市は虐待問題でルミエールを調査しましたが、市は結局何もできず、逆に「調査したけど虐待は無かった」とルミエールを開き直らせる結果を招きました。

更に虐待行為者のK職員は反省するどころか「俺のことを市に告げ口した奴は許さない」と、逆に周りの職員を恫喝するようになりました(6月時点での札幌市への通報は、利用者家族と推測される。乙B第2号証1頁18行目と29頁26行目)。

 

このことからして、私たちが穏便なかたちで行政に「指導して欲しい」旨お伺いを立てても、事なかれ主義のなかでうやむやにされ、事態を更に悪化させる恐れが充分考えられました。

私は、この問題を大きく社会問題化することが、行政の積極性を引き出し、地域社会がルミエールを監視する状態を作れると思いました。

そしてそのことが、とりあえずは今起きている虐待を止めさせ、更には多田めぐみ、坂本典子両名を護ることにつながると考えました。

 

私の予想通り、記者会見以降の一連の新聞やテレビによる報道で、地域社会全体でルミエールに対する監視態勢を作り出し、虐待は散発するものの以前のせっかんのような「激しい虐待」をする者はいなくなりました。

また、マスコミ報道による世論に押される形で、市議会がこの問題を積極的に取り上げ、超党派の議員がルミエール問題の徹底究明と経営者に対する厳しい対処を市当局に求めました。

そのことは、虐待問題では全国初となる後の行政処分につながりました。

 

また、報道を見たルミエール利用者の家族の方々が、多田めぐみや坂本典子を応援してくださることは、この間の辛い闘いの中で、何にも代えがたい励みを与えられています。

もし記者会見をしていなければ、市の調査も頑迷なルミエールに再び歯が立たなかったかもしれませんし、多田、坂本両名は、職場を去っていたかもしれません。

その場合、施設から逃れなれない利用者はどうなったのでしょうか。

 

3、ルミエールユニオンからK職員およびその他組合員が脱退した経緯について

8月18日の午前中、K職員は私に電話し組合を脱退すると伝えるとともに「施設側に組合を脱退した旨の証明書を出して欲しい」と言ってきました。

私は組合専従の仕事に就いて16年になりますが、使用者に「私は組合を抜けましたよ」とアピールしたいがために、恥も外聞もなくこのような要請をしてくる人間は彼が初めてでした。彼は、それぐらい窮地に立たされていたのでしょう。

 

通常なら相手にしない要請でしたが、私は長沼施設長の反応を確かめるために、あえて彼の要請に応え「K職員が組合を脱退した」旨をルミエール代理人の前田尚一弁護士宛にファックス送信しました(乙B第6号証)。

 

案の定その直後に、K職員が長沼施設長と仲良さそうに事務所から出てきたとの情報を得ました。

それ以降、職場のボス的存在であったK職員は率先して他の組合員らにも脱退を働きかけ、最終的には多田めぐみ、坂本典子の二名を残す全員(計11名)が組合を脱退しました。

しかし、今、組合を抜けないと多田めぐみのように村八分に遭うとの懸念から、渋々組合を脱退した人も半数近く含まれていました。

 

4、告発に対する札幌市の対応について

札幌市は、2000年4月のルミエール開設当初から長沼倭文子(しずこ)施設長による施設運営に懸念を持っていたようです。

そのことは、この事件が起きる1年ほど前に、複数の札幌市保健福祉部出身の元・幹部が「まさか、(福祉に素人の)理事長の奥さんが自ら施設長に就くとは思わなかった」と私に直に語っています。

 

2004年8月28日午前10時、私は札幌市保健福祉部を訪れ、市長宛の申入書(乙B第1号証)と添付の資料を手渡しました。

札幌市は、以前からルミエールについての虐待情報を得ていたこともあり、即座に調査に着手し、同年10月1日の中間報告や、12月20日の行政処分を出しました(甲41、甲43、甲44、甲60号証)。

 

その間も何度か、多田めぐみ、坂本典子両名に対するルミエールによる嫌がらせが強まる度に、札幌市に「嫌がらせを止めさせるようルミエールを指導して欲しい」旨の要請を行いました(乙B第9号証)。

市はそれを受け、ルミエールに対し何らかの指導をしてくれたようで、長沼施設長が多田めぐみ、坂本典子両名を罵倒するなどの過激な嫌がらせは一応影を潜めました。

 

札幌市は、今回の内部告発によって、今までは「うちにはそういう虐待問題は一切ない」と言い張って調査に非協力的だった特別養護老人ホームなどに対する指導を、今後はやり易くなったと言っています。

 

5、多田、坂本への施設側の嫌がらせ問題の交渉経過等について

ルミエールによる多田めぐみ、坂本典子両名に対する目に余る嫌がらせについて、札幌地域労組は2004年11月17日に団体交渉を申し入れました(甲28号証)。

しかしルミエール側は団交応諾を2ヶ月以上も引き伸ばしました。その間、組合側は7回も文書でルミエール側に団体交渉を催促し続けました。

その後、2005年2月1日、やっとのことで団体交渉が開催されました。

 

多田めぐみ、坂本典子両名に対する嫌がらせ問題に関するやり取りでは、長沼施設長の多田めぐみに対する「貴方を告訴します(2004年8月28日)」発言や、坂本典子に対する「良く出て来れたわね。親の顔見てみたい(2004年8月31日)」発言について、まず長沼施設長本人にその発言の有無について確認しました。

すると、長沼施設長は即座に「言っていません」と発言の事実を真っ向から否定したため、それ以上の話になりませんでした。

特に8月31日の坂本典子に対する罵倒の場面(乙B第17号証)は、後にテレビ報道で流されたことを施設長も知っていたはずで、前田弁護士がすかさず「似たような発言をしたことあるなら『言った』と言って」とフォローを試みましたが、それでも施設長は頑強に「言ってない」と言い張りました。

 

城田事務局長による多田めぐみ、坂本典子両名に対する訴訟取り下げを条件にした謝罪強要問題については、前田弁護士は「この件は我々も城田事務局長に勝手なことをされた」と怒っているとし、城田事務局長を戒告処分にした旨を強調しました。

更に、「組合も分かっていると思うが、裁判を不利にするかもしれないそういう行為を、こちら側がする訳が無い」などと平気で矛盾したことを言い、多田、坂本に対する嫌がらせ問題を、あたかも城田事務局長の個人的ミスであるかのように言い訳し、最後まで組合に謝罪することはありませんでした。

 

また、この間のルミエール側による多田、坂本両名に対する嫌がらせは、不当労働行為であるとの組合の申し入れは、前田弁護士の書面(甲30号証)により組合独自の見解として一蹴され、団体交渉でやり取りすることは出来ませんでした。

 

札幌市による改善命令を職員全体に開示せよとの組合要求に対し、前田弁護士は「見せる必要が無い」と言い張りました。しかし、後に組合宛の書面で、「廊下に張っていたことを思い出した」と言い訳してきました。

 

ルミエール団交における前田弁護士は、使用者側の発言の殆どを専ら1人でしゃべりまくり、組合側の質問をその場限りでかわすような答弁や、組合をわざとに茶化したり、怒らせるようなことを述べ、団交を紛糾させ笑っていました。

 

例えば、組合側が「長沼施設長、ちゃんと答えてくださいよ」と迫っても、即座に前田弁護士が「答える必要ない」と立ちはだかるような妨害をするのです。

虐待問題については、組合が「今後、虐待を上司に報告しても、本人が神に誓ってやっていない、と言ったらどうすれば良いのか」と問うと、前田弁護士はニヤニヤしながら「やっぱり現行犯じゃないと駄目だな」などと組合を茶化すといった具合です。(前田尚一弁護士の公式ホームページは>こちら<)

それでいて、「虐待を見たらちゃんと報告して」などとアリバイ的に付け加えました。

 

このように、前田弁護士が用心棒のように組合の前に立ちはだかり、組合の追求から使用者をお守りするような団体交渉は、彼がルミエールの代理人に就いた2004年3月末頃からで、少なくともそれ以前の代理人(M・M弁護士)の時は、組合側の主張を真面目に受け止め、時には理事長や施設長を説得するなど、もう少しまともな団体交渉が可能でした。

 

ルミエールは、本件裁判のなかで「市に申し入れする前に、ルミエールに労組の立場でその主張をするなり、改善を求めるなりしてしかるべき」(原告訴状16頁下段)と主張しています。

しかし、正常な労使関係が築かれていれば組合はそうしたに違いありません。現に、他の施設で発生した虐待問題では、労使間の自主的なやり取りの中で解決しています。

 

ルミエール側の団交姿勢は、労働組合法7条2号に抵触する団体交渉拒否(不誠実交渉)に該当することは明らかです。甲87号証のルミエールFaxニュースは、このときの団体交渉の模様を率直に書いたものです。

 

6、その他

本件虐待問題は、特別養護老人ホームに入居する利用者のなかでも、身体の自由が利かない方や、認知症で職員の名前を覚えられないという、社会的弱者の身体の安全が脅かされている重大な人権侵害事件です。

本件訴訟が提起された以降、ルミエールでは虐待行為者の代表格であった、K職員やN職員が退職しました。

しかし、それ以外の虐待行為者らは未だに処分もされることもなく、施設の指導的な「中堅職員」として働き続けている実態にあります。

そして信じられないことに、本件裁判の係争中にもまた虐待が発生しました。今年(2005年)7月から8月にかけて、介護スタッフ(派遣労働者)が利用者のオデコを叩くという虐待が3度も発生しましたが、ルミエールの管理職らはそのことを薄々知りつつも、何ら腰をあげようとしませんでした。

 

今回も又、「○○さんが虐待をしています」と上司に報告したのは多田めぐみなのです。ちなみに報告を受けた城田事務局長は、多田めぐみに対し非常に迷惑そうな態度を取ったそうです(数日後、派遣の介護スタッフは、別の派遣先に変えられたようです)。

そして昨年の札幌市からの改善命令で指導された虐待の真相究明や、利用者家族への説明も全く行われないままでした。

このことは、札幌市による改善命令後も、ルミエールは書類上、市へ改善のポーズを示しただけで、ルミエールの人権軽視の無責任な体質が何ら変わっていないことを示しています。

施設は現在もこの間の虐待を一切認めていない長沼政幸理事長、長沼倭文子(しずこ)施設長によって運営されているのですから、反省などないのは当然と言えば当然です。

 

本件虐待事件は、一部の不心得者による事件ではなく、社会福祉法人としての人権意識を著しく欠いた施設経営者による構造的な虐待事件であります。

そしてこの問題は、全国の老人ホームや身障施設がかかえる虐待問題の氷山の一角であり、そのため本件裁判の成り行きを全国の施設利用者(家族)、施設職員、虐待問題に取り組むNPO、学者、行政関係者などが注目しています。

 

私は、施設管理者が虐待を放置するなどの異常事態下にあって、内部告発は高齢者や児童、障害者などを虐待から護る最も有効な手段だと思います。

以  上

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